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3月27日。ヨーロッパのビャウォヴィエジャの森にて行われた、ヨーロッパ人狼戦線3…
銀誓館では、それはポーランドの森だと言われてきているが、一部の人は、
それは間違いでは無いが、ちょっと言い過ぎだという事を知っているだろう。
そう、ビャウォヴィエジャは、ポーランドと、もう1つの国に跨っているのである。
「……やっぱり、日本って遠いですねぇ……」
飛行機のチケットを見て、溜息をつく少年。
彼が居る場所は、ベラルーシ。ミンスク国際2空港である。
知っている人は知っているが、ベラルーシから日本は、それなりに遠い。
安いと一人8万くらい、高いと30万くらいする、意味の判らない金額だ。
彼の家はそれなりに裕福なので別に大丈夫なのだが、それでも気になる値段である。
とにかく、日本に行くと決意してしまった物はしてしまったので、そのまま飛行機に乗る。
長い道のりなので、何故こんな事になったのかを思い返すには十分だ。
ビャウォヴィエジャの森は、ポーランドと、ベラルーシに跨っている。
どちらでも、世界遺産に登録されている、美しい原生林だ。
正確には、国境からポーランド側をビャウォヴィエジャ、ベラルーシ側をベロヴェーシと言う。
銀誓館と異形が死闘を繰り広げた、ビャウォヴィエジャの森。
ベラルーシとポーランドの国境付近のブレストに住んでいた彼には
すぐに、何かが起きていると判った。けれど、「近付かないで」と他の皆は言った。
『ゴーストが原因で起きている事件に関わろうとしない』……世界結界の力である。
その日の夜、不思議な夢を見た。
何度も何度も、「負けないで」とか、「死なないで」とか、
色々な声が、話しかけてくる夢。それは、カタストロフ中に銀誓館の皆が心の中で叫んだ言葉。
霊感が強いと自覚している彼は、その声が日本を拠点とする何かの物であると感覚で知る。
そして、その者達が戦っている「モノ」が、父親の仇であるとも。
「……コースチャ…ごめんね…これは、ワタシの我儘だよ……」
『セリョージャも良い詩を作るな、流石私の息子だ』
嬉しかったのに。嬉しかったのに。うれしかったのに。うれしかったのに。
いつの間にか目覚めていた能力者としての力が、引き寄せたのだろうか。
それとも、単なる偶然、不幸だったのか。
あの時、『得体の知れない物』の存在を認めるのが恐くて恐くて恐くて、
ビャウォヴィエジャの森の一件があるまで、目を背けてきた。
自分は、「家族を見捨てる」というとんでもない事をした。
けれど、何をすれば良かったのか判らないから、そんな罪深い行為にも、目を瞑ってきた。
あの時、何をするのが良かったのか。ワタシは逃げただけだった。
しかし、逃げなかったら、何かできたのだろうか。
……逃げなければ、死んでいたのではないだろうか。
その思考を、あれから何回しただろう。
今も、止まる事を知らない。いつかは止まると信じているけれども。
「その為にも、日本に行こう。」
あの、『得体の知れない物』と戦える組織があるのなら。
戦う事、生き残る事が、罪滅ぼしとなるのなら――。
10時間を優に越えるその飛行機のフライトを終えると、
次に成田から鎌倉に向かうという面倒な旅が待っている。
2時間程の、乗り換えもちょっと多い。事前に調べてきたメモを見て、もう一度溜息をつく。
成田から品川へ。品川から大船へ。大船から鎌倉へ。
しかも、立つ。人が多いのでそれが当たり前になってしまう。
日本人からすれば珍しい、赤っぽい髪と、不思議な瞳が
他の乗客の関心を集めるけれども、それは直ぐに止められる。
生活を壊された虚無感と、ゴーストへの憎しみが、彼の瞳を歪ませ、光を失わせた。
見つめられたら呪われそうな、そんな瞳で少し睨めば人は直ぐに眼を逸らした。
昔は、そんな眼じゃなかったのに。
そんな思考をしながら、唇を噛み。人の視線を感じる、少し長めに感じる電車の旅も終わりを告げる。
同じような思考を何回も何回も繰り返すので、時間の経過を曖昧に感じてしまうのだ。
しかし、そろそろそれも終わりそうだ。
鎌倉から、詠唱調律車両に乗り、銀誓館学園へと辿りついた。
校門に入った時点で、やはり「そういう」学園だったのだと、直感する。
きっと、彼と同じような境遇だろうと眼に見えて判る人も居る。
外国人も日本人も入り混じっている。そして能力者も……
がくんっ
確かな安心感を感じた直後に、足から力が抜けてしまった。
………………物凄い、眠気だ。
(「ああ……かなり疲れましたからねぇ…… …でも此処で寝たら他の人の迷惑に…」)
昔からそうだ。疲れると、一気に睡魔が襲ってきて、前後も判らずにいきなり眠る。
凄く歩いたし、凄く立ったし、凄く座った。まあ、寝ても良いだろう、此処まで頑張ったのだから。
そう、思い直して、完全に眠った。
…勿論、同じ時間に登校してきた人――能力者か否かは判らないが――に
保健室に連行された。
「……丸一日寝てたんですかぁ?」
彼が銀誓館学園で、初めて存在を知った部屋は、教室でもなく、事務室でもなく、
保健室だった。
…ともあれ、新しい、日本での生活が此処から始まりそうだ。
銀誓館では、それはポーランドの森だと言われてきているが、一部の人は、
それは間違いでは無いが、ちょっと言い過ぎだという事を知っているだろう。
そう、ビャウォヴィエジャは、ポーランドと、もう1つの国に跨っているのである。
「……やっぱり、日本って遠いですねぇ……」
飛行機のチケットを見て、溜息をつく少年。
彼が居る場所は、ベラルーシ。ミンスク国際2空港である。
知っている人は知っているが、ベラルーシから日本は、それなりに遠い。
安いと一人8万くらい、高いと30万くらいする、意味の判らない金額だ。
彼の家はそれなりに裕福なので別に大丈夫なのだが、それでも気になる値段である。
とにかく、日本に行くと決意してしまった物はしてしまったので、そのまま飛行機に乗る。
長い道のりなので、何故こんな事になったのかを思い返すには十分だ。
ビャウォヴィエジャの森は、ポーランドと、ベラルーシに跨っている。
どちらでも、世界遺産に登録されている、美しい原生林だ。
正確には、国境からポーランド側をビャウォヴィエジャ、ベラルーシ側をベロヴェーシと言う。
銀誓館と異形が死闘を繰り広げた、ビャウォヴィエジャの森。
ベラルーシとポーランドの国境付近のブレストに住んでいた彼には
すぐに、何かが起きていると判った。けれど、「近付かないで」と他の皆は言った。
『ゴーストが原因で起きている事件に関わろうとしない』……世界結界の力である。
その日の夜、不思議な夢を見た。
何度も何度も、「負けないで」とか、「死なないで」とか、
色々な声が、話しかけてくる夢。それは、カタストロフ中に銀誓館の皆が心の中で叫んだ言葉。
霊感が強いと自覚している彼は、その声が日本を拠点とする何かの物であると感覚で知る。
そして、その者達が戦っている「モノ」が、父親の仇であるとも。
「……コースチャ…ごめんね…これは、ワタシの我儘だよ……」
『セリョージャも良い詩を作るな、流石私の息子だ』
嬉しかったのに。嬉しかったのに。うれしかったのに。うれしかったのに。
いつの間にか目覚めていた能力者としての力が、引き寄せたのだろうか。
それとも、単なる偶然、不幸だったのか。
あの時、『得体の知れない物』の存在を認めるのが恐くて恐くて恐くて、
ビャウォヴィエジャの森の一件があるまで、目を背けてきた。
自分は、「家族を見捨てる」というとんでもない事をした。
けれど、何をすれば良かったのか判らないから、そんな罪深い行為にも、目を瞑ってきた。
あの時、何をするのが良かったのか。ワタシは逃げただけだった。
しかし、逃げなかったら、何かできたのだろうか。
……逃げなければ、死んでいたのではないだろうか。
その思考を、あれから何回しただろう。
今も、止まる事を知らない。いつかは止まると信じているけれども。
「その為にも、日本に行こう。」
あの、『得体の知れない物』と戦える組織があるのなら。
戦う事、生き残る事が、罪滅ぼしとなるのなら――。
10時間を優に越えるその飛行機のフライトを終えると、
次に成田から鎌倉に向かうという面倒な旅が待っている。
2時間程の、乗り換えもちょっと多い。事前に調べてきたメモを見て、もう一度溜息をつく。
成田から品川へ。品川から大船へ。大船から鎌倉へ。
しかも、立つ。人が多いのでそれが当たり前になってしまう。
日本人からすれば珍しい、赤っぽい髪と、不思議な瞳が
他の乗客の関心を集めるけれども、それは直ぐに止められる。
生活を壊された虚無感と、ゴーストへの憎しみが、彼の瞳を歪ませ、光を失わせた。
見つめられたら呪われそうな、そんな瞳で少し睨めば人は直ぐに眼を逸らした。
昔は、そんな眼じゃなかったのに。
そんな思考をしながら、唇を噛み。人の視線を感じる、少し長めに感じる電車の旅も終わりを告げる。
同じような思考を何回も何回も繰り返すので、時間の経過を曖昧に感じてしまうのだ。
しかし、そろそろそれも終わりそうだ。
鎌倉から、詠唱調律車両に乗り、銀誓館学園へと辿りついた。
校門に入った時点で、やはり「そういう」学園だったのだと、直感する。
きっと、彼と同じような境遇だろうと眼に見えて判る人も居る。
外国人も日本人も入り混じっている。そして能力者も……
がくんっ
確かな安心感を感じた直後に、足から力が抜けてしまった。
………………物凄い、眠気だ。
(「ああ……かなり疲れましたからねぇ…… …でも此処で寝たら他の人の迷惑に…」)
昔からそうだ。疲れると、一気に睡魔が襲ってきて、前後も判らずにいきなり眠る。
凄く歩いたし、凄く立ったし、凄く座った。まあ、寝ても良いだろう、此処まで頑張ったのだから。
そう、思い直して、完全に眠った。
…勿論、同じ時間に登校してきた人――能力者か否かは判らないが――に
保健室に連行された。
「……丸一日寝てたんですかぁ?」
彼が銀誓館学園で、初めて存在を知った部屋は、教室でもなく、事務室でもなく、
保健室だった。
…ともあれ、新しい、日本での生活が此処から始まりそうだ。
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