TWのPC、そしてそのPLの雑談広場。
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「……眠……」
布団から目を擦りながら起き上がり、思い切り背伸びをする。【私】にとって、今日は何の日でもない。ただの、普通の日常。休日。
今日も今日とて、迎えに来るように現れた黒猫を見て、くすりと笑う。猫は身震いをして、その後に耳を掃除するようにくるくると足を動かす。その様子を見守るように眺めてから猫の頭を撫でてから蛹は立ち上がった。
「行きますか」
彼が向かうのは、黒猫の導く先。
今日の話題は主に妖狐の入学。猫耳、狐耳に弱い学園にとって、これほど喜ばしい事は……無いのか?
蛹もそれは同じである。いや、別に耳とかに興味があるんじゃなくて、仲間が増える事に喜びを感じているのだ。かつて敵対関係であった我らと人間達の間に、これほど良い関係を築けているのは少し変ではあるけれども……それでも、【俺】が今の状況に満足しているのは間違いない。妖狐達にとってもそうあって欲しいと、強く願うばかりだ。
そういう話ばかりでなく、他愛も無い話を続けている内に、
「今日は蛹さんの誕生日ね。おめでとう」
あまりにも不自然な流れで、赤い吸血鬼が蛹に話しかける。何故だか、ぞわっと体が反応する。
『……え……や、やば、忘れてた!?』
そう、彼は今の今まで自分の誕生日である事を忘れていたのだ!
「おめでとな」
「おめでとうっ!」
流れるように放たれるその言葉に、徐々に落ち着きを取り戻しつつ、『それぞれの言葉』に軽く言葉を返す。今まで、こんな事はあったはあったのだが、最近は本当に無かった。
自分の感情を封じ込めてきたせいでもあるのだが、あまり人に賞賛される事に慣れて居ない為……少し対応に手間取った。
「あ、ありが…と…な…」
誰にも判る、妙な苦笑を浮かべながらそそくさとその場を去った。
「蛹」
夜風に当たっていた蛹に前に現れたのは、彼の主たる土蜘蛛の少女である。
少女といっても、吊り上げられた強い瞳には炎のような意志を感じる。【私】が最も『感情』を寄せる存在でもある。
「……なんですか」
溜息をついて返事を返すと、相手も目を瞑って軽く溜息をつき……手に握られていた詠唱銀と――弱弱しい外見のマジカルロッドを差し出した。
「好きに使え。お前の新しい武器だ」
え……?
意味を理解して、ただ頷いてそれらを受け取る。
自分に合った、詠唱兵器を創るため。
「……行ってきます」
にこりと笑って、屋上へと走る。マジカルロッドを、強化するため。
「……【私】には、もっと強い力が必要だ……この和弓よりも、強く、速いモノが必要……」
和弓は、射撃の力が備わっているが、どう頑張ってもその大きさ故に素早い移動ができなくなってしまう。それに、彼が入学時から求めていたものは、魔弾術士としての詠唱兵器だった。
入学時には、彼は「土蜘蛛の巫女」だと言った。まあそのせいで和弓をもらってしまったという感じだ。今の【私】は、マジカルロッドが欲しい。【私】に合った雰囲気と、【俺】に合う形状を。目を瞑りながら、強く頭の中でイメージする。
イメージが銀に取り込まれ、やがてそれがマジカルロッドに流れ込んでいく。
そうした過程を乗り越えて、頭の中が空っぽになった瞬間に――
彼は目を開けた。
マジカルロッドにしては巨大で、蠍の尻尾のような刺々しく、かつ禍々しい外見。
しかし、天国を思わせる神聖な雰囲気を持つマジカルロッド。
それを見届けると、今まで使っていた和弓をイグニッションカードから取り出して、バラバラに分解した。
「感謝します……揚羽様……」
布団から目を擦りながら起き上がり、思い切り背伸びをする。【私】にとって、今日は何の日でもない。ただの、普通の日常。休日。
今日も今日とて、迎えに来るように現れた黒猫を見て、くすりと笑う。猫は身震いをして、その後に耳を掃除するようにくるくると足を動かす。その様子を見守るように眺めてから猫の頭を撫でてから蛹は立ち上がった。
「行きますか」
彼が向かうのは、黒猫の導く先。
今日の話題は主に妖狐の入学。猫耳、狐耳に弱い学園にとって、これほど喜ばしい事は……無いのか?
蛹もそれは同じである。いや、別に耳とかに興味があるんじゃなくて、仲間が増える事に喜びを感じているのだ。かつて敵対関係であった我らと人間達の間に、これほど良い関係を築けているのは少し変ではあるけれども……それでも、【俺】が今の状況に満足しているのは間違いない。妖狐達にとってもそうあって欲しいと、強く願うばかりだ。
そういう話ばかりでなく、他愛も無い話を続けている内に、
「今日は蛹さんの誕生日ね。おめでとう」
あまりにも不自然な流れで、赤い吸血鬼が蛹に話しかける。何故だか、ぞわっと体が反応する。
『……え……や、やば、忘れてた!?』
そう、彼は今の今まで自分の誕生日である事を忘れていたのだ!
「おめでとな」
「おめでとうっ!」
流れるように放たれるその言葉に、徐々に落ち着きを取り戻しつつ、『それぞれの言葉』に軽く言葉を返す。今まで、こんな事はあったはあったのだが、最近は本当に無かった。
自分の感情を封じ込めてきたせいでもあるのだが、あまり人に賞賛される事に慣れて居ない為……少し対応に手間取った。
「あ、ありが…と…な…」
誰にも判る、妙な苦笑を浮かべながらそそくさとその場を去った。
「蛹」
夜風に当たっていた蛹に前に現れたのは、彼の主たる土蜘蛛の少女である。
少女といっても、吊り上げられた強い瞳には炎のような意志を感じる。【私】が最も『感情』を寄せる存在でもある。
「……なんですか」
溜息をついて返事を返すと、相手も目を瞑って軽く溜息をつき……手に握られていた詠唱銀と――弱弱しい外見のマジカルロッドを差し出した。
「好きに使え。お前の新しい武器だ」
え……?
意味を理解して、ただ頷いてそれらを受け取る。
自分に合った、詠唱兵器を創るため。
「……行ってきます」
にこりと笑って、屋上へと走る。マジカルロッドを、強化するため。
「……【私】には、もっと強い力が必要だ……この和弓よりも、強く、速いモノが必要……」
和弓は、射撃の力が備わっているが、どう頑張ってもその大きさ故に素早い移動ができなくなってしまう。それに、彼が入学時から求めていたものは、魔弾術士としての詠唱兵器だった。
入学時には、彼は「土蜘蛛の巫女」だと言った。まあそのせいで和弓をもらってしまったという感じだ。今の【私】は、マジカルロッドが欲しい。【私】に合った雰囲気と、【俺】に合う形状を。目を瞑りながら、強く頭の中でイメージする。
イメージが銀に取り込まれ、やがてそれがマジカルロッドに流れ込んでいく。
そうした過程を乗り越えて、頭の中が空っぽになった瞬間に――
彼は目を開けた。
マジカルロッドにしては巨大で、蠍の尻尾のような刺々しく、かつ禍々しい外見。
しかし、天国を思わせる神聖な雰囲気を持つマジカルロッド。
それを見届けると、今まで使っていた和弓をイグニッションカードから取り出して、バラバラに分解した。
「感謝します……揚羽様……」
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